
梅酒
待つ楽しみもある |



「…ただいま」

「どうした その格好?!」

「何でもない」

(いや あるだろ)

「雨に降られて …昔の事を色々思い出した」
(落ち込んで 人格交代したのか)

「こんな夜中に夜食か」
「『梅酒』 だ。今年の梅は豊作だった」
「飲んでみたい」

「残念だが 3ヶ月は漬けないと」

「3ヶ月…」

「長いな」
「……」

「ちょっと待ってろ」



「此れは?」
「13年前 俺が作って裏庭に埋めていたものだ」

「いつか ふたりで飲みたいと思っていた」

「13年、か」

「飲めるのか?」
「多分…」
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