「もういいぞ」



「美味しそうだな。では早速――」
「いや。この餅は 『鏡餅』 にする」
「『鏡餅』？」



「神を迎え 共に新年を祝う供物だ。正月の間 御霊が宿る依代となる」



「見た事があるな」
「そうか。では成形はお前に任せる」
「承知した」





「神への供物… 依代… 」



「出来たか？」



「橙は 上に乗せるのであったな」



「……ああ」



「喜んでくださるだろうか」
（『鏡開き』 どうしよう…）