怪我・1
世話好きな兄に
翻弄される |
「だ、誰にやられた?!」
「いや、この怪我は 俺がうっかり…」
「階段から落ちたのか。あれは痛いな」
「(落ちたことあるのか) まぁ こんな具合だから、夕飯は…」
「良いだろう。私に任せなさい」
「カップラーメン買ってきたから」
「何を言う。しっかり栄養を摂って 早く治さねば」
(……不安だ)
「出来たぞ カノン」
「初めて料理をしてみたのだが、何だか夢中になって…
こんな時間になってしまった。すまない」
「謝る所 間違ってないか?」
「おっと サラダを忘れていた」
「玄関の杉の枝 か… 採れたてだな」
「何とデザートまであるのだ。今日は特別だぞ」
「器がフィンガーボー… いや、何でもない」
「沢山食べなさい。おかわりもあるからな。
治るまで毎日作るから、お前は治療に専念するが良い」
「あぁ」
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