「近くまで来たのだ。『芸予要塞跡』 を見ておきたい」



「ロシア海軍の侵攻を防ぐため 築かれた施設か」
「ああ。だが結局 実戦を経験しないまま廃止となった」



「『発電所跡』。 北部探照灯に電力を供給していた」



「『兵舎跡』。 兵士達が此処で 寝起きを共にしていたのだな」



「『砲座跡』。 当時は２８センチ砲が６門あったそうだ」



「どれも保存状態がいい。１００年以上経過しているとは思えないな」
「当時の政府が 国家の威信をかけて作った建物だ。
　砲撃に耐えられるよう また敵が上陸した際の近接戦も想定して建設したらしい」



「畑がある」
「３０人程の島民が 今もこうして暮らしておられる」
「のどかな光景だ。ここで戦闘が行われなくて 本当に良かった」



「この辺り 破壊されているようだが…」
「要塞廃止後に 軍用機の爆撃演習を行った跡だ」



「せっかく闘いを避けられたのに 自国の攻撃を受けたのか。酷い話だ」





「だいぶ高台まで 登って来た」



「『指令塔跡』 。 一般人は勿論 兵士ですら容易に近付けなかった場所だ」



「今はこうして 素晴らしい眺望を満喫出来る」
「平和っていいな」