「新緑が美しいな」



「散歩が楽しい季節だ」



「上流に――」



「巨大な建物が！」



「『奥多摩工業 氷川工場』」
「凄い迫力だな」



「少し歩くが もっと間近で見られる場所があるぞ」



「行ってみよう」



「本当に 通って良いのか？」
「これでも公道だ」



「ワクワクするな！」





「白い埃は… 石灰だろうか」



「当たり。１９４６年に採掘を始めて ７０年稼動しているそうだ」



「７０年か」



「使い込まれた感じが 良い味を醸している」



「噂によると 『工場萌えの聖地』 らしい」
「解る気がする」



「この無機質で飾り気が無い所がカッコイイ」
「いわゆる機能美だな」





「山に向って 道が続いている」



「トロッコだ」



「動いてない？」
「今日は休日だから」



「そう言えば 従業員を一人も見ていない。機械音は聞こえるのに」
「自動運転で操業しているのだろう」
「見掛けに寄らず 近代的だ」



「内部は一体 どうなっているのか…」
「興味は尽きないな」