ムーミン谷公園
ロマンチストとリアリスト |
「ムーミンに会いに行くぞ」
「今から?フィンランドまで?」
「いや」
「埼玉だ!」
「…え?」
「此処だ。案内看板がある」
「入園無料か。気前がいいな」
「あった!」
「『ムーミン屋敷』!!」
「中に入れるらしい」
「当然だ。ムーミン家は 玄関の鍵を掛けないのだぞ」
「留守のようだ」
「向こうの建物に 居るのではないか?」
「『水浴び小屋』 か。あぁ 今日は暑いし――」
「――居ない」
「おかしいな。ああいう生き物は 水辺に生息しているとばかり…」
「ムーミンはカバではない! 妖精だ!!」
「そうだったのか。では見えない場合もあるのではないか?」
(もしや 純真な心を無くした人には見えないとか… いや、そんなはずは……)
「あまり落ち込むな。また来たらいい」
「タダだしな」
(会えなかったのは コイツのせいだ!)
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