赤坂サカス
大人の自由研究 |
「まさかお前と このようなお洒落な街を訪れようとは…」
「別に 観光目的で来た訳ではない。そこの柱を見ろ」
「……化石?」
「そう。 『アンモナイト』 だ」
「凄いな!化石の壁か」
「今から約2億年前の海に体積した地層を 切り出して使っている」
「ちなみにこれも アンモナイトだ」
「?」
|
|
「縫合線が複雑なもの」 |
「真横に切断されたもの」 |
|
|
「内部が方解石に 変化したもの」 |
「…まるで難解なパズルだな」 |
「此れは… アンモナイトとは 少し形状が違うようだが」
「よく見つけたな。 『オウムガイ』 かも知れん」
「探せば 他の種類の化石も見られるぞ」
|
|
『二枚貝』 |
『ウニ』 |
|
|
『直角貝(オルソセラス)』 |
『べレムナイト』 |
「此方もべレムナイトだろう?」
「そうだ。筋がいいぞ」
「目が慣れて来ると 結構見つかるものだな」
「……昆布?」
「判らん」
「判らない物もあるのか」
「当然だ」
「遥か昔に生きていた生物を 切断面で推理するのだ。簡単ではない」
「そうか」
「だが仮説は立てられる」
「例えばこの 『アンモナイト』 と 『べレムナイト』
並んで地層に埋まっている様子から、
同じ場所に暮らし ほぼ時を同じくして死んだと考えられる」
「成る程」
「この 『腕足貝』、内と外の砂礫の大きさが異なっている。
別の場所で死んだ後 この地に運ばれ埋没したのかも知れない」
「其処まで判るのか!?」
「もちろん素人の推測だから 正しいとは言い切れない。
だが化石は こうして過去の地球の姿を伝えてくれている」
「命を終え 長い眠りの中で少しずつ石になっていった者達が見守る街、か。
しかしこう 野晒しでは…」
「いずれ風化して 彼らも土に還るのだろう」
「ここは奇跡のような偶然で 太古の海に出会える貴重なスポットなのだ」
「もっと関心を持ってくれる人が 増えると良いな」
|
|