喜多院
化石の次は 石仏 |
「着いたぞ。『川越大師 喜多院』」
「寺見物?」
「いや。見仏 だ!」
「此方が釈迦… ゴータマ・シッダールタ。厳しい修行の末 悟りを開いた高僧だ」
「ああ。仏教の開祖な」
「彼の入滅後 教えを広めていこうと集まった仏弟子、五百羅漢が
この寺の境内に居られる」
「いずれも修行僧の到達し得る 最高位の称号を与えられた聖者達だ。
さぞかし尊いお姿で――」
「酒 飲んでるな」
「…多分 宗教的儀式だろう」
「寝ているようだが」
「こ、これは瞑想しているのだ」
「………」 「………」
「修行前は 普通の人間だったのだ。親しみやすいのも無理はない」
「表情豊かで和むよな。しかし数が多い」
「538体だそうだ。よく見ると 自分や知人にそっくりな羅漢像があるらしいぞ」
「あった!」
「……何が言いたい」
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(カノンに似た羅漢は…) |
(違う) |
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(何故見つからない) |
「あ!」 |
(剃髪してしまえば結構…)
「今 いらん事考えてるだろ」
「煩悩を断ち切るのは 中々困難だな」
「弟子入りでもするか? 乙女座に」
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